粒子形状の重要性

動的画像解析

粒子解析において、これまで粒子径(粒径)は、最も重要な評価指標として用いられてきました。しかし近年の研究や技術の進展により、粒子形状が材料の挙動、加工性、さらには最終製品の性能を左右する重要な要素であることが明らかになっています。
 
医薬品、研磨材、セラミックス、さらには積層造形といった幅広い分野において、粒子の形状は流動性、充填性、圧縮特性、機械的強度などに大きな影響を与えます。
 
本編では、なぜ粒子形状の評価が重要なのか、どのように形状が測定・定量化されるのかを解説するとともに、ラプターのような先進的な解析ツールを活用することで、材料特性をより深く理解し、的確な材料選定やプロセス最適化を実現する方法をご紹介します。

粒子形状分析が重要な理由

レーザー回折法やふるい分け法といった従来の粒子径測定装置は、粒子サイズの統計的な平均値を把握することはできますが、粒子の実際の幾何学的形状までは評価できません。しかし、同じ粒子径であっても、形状が異なれば粒子の挙動は大きく変化します。
 
例えば、体積が同一の2つの粒子であっても、一方が球状、もう一方が角張った形状や細長い形状である場合、流動性や圧縮特性(充填・成形挙動)は大きく異なります。
粒子形状解析は、こうした従来の粒子径評価では見えなかった違いを明らかにし、材料特性をより正確に理解するための重要な情報を提供します。
 
粒子形状解析により、以下のような特性評価が可能になります。

  • 粉体の流動性および充填挙動の把握

  • 比表面積の違いの評価(反応速度への影響)

  • 研磨性・切削性の評価

  • ろ過効率や目詰まりリスクの予測

これらすべての粒子(球体、不規則な形状、繊維)は、サイズのみで換算した等価円直径が約 40μm であると報告されています。

従来方式は、すべての粒子が球形であるという仮定は誤解を招く可能性がありますが、最終製品に影響を与える可能性について測定後に警告が出るわけではありません。

粉体粒子が細長い形状や繊維状である場合、少なくとも長さと幅を測定することが、適切な評価のために不可欠です。しかし、アスペクト比が低く、細長く見えない粒子であっても、形状が不規則であるケースは少なくありません。

材料の挙動や性能を正確に予測するためには、こうした不規則粒子を適切に分類・評価する目的で、円形度や平滑度(表面の滑らかさ)など、複数の形状指標について統計的なデータを取得することが求められる場合があります。
 
例えば、円形度の低い粒子は流動性が低下し、プロセス中の流動において偏析(分離)を引き起こす原因となることがあります。同様に、表面が粗い粒子や、平滑度・円形度・粒子径が組み合わさった条件によっても、粉体の流動性やプロセス安定性は大きく影響を受けます。

円形度は、粒子の輪郭形状がどれだけ円に近いかを示す指標であり、0~1.0の範囲で球状性の程度を表します。粒子の実際の輪郭画像から得られる周長と面積を用いて算出されます。また、粒子輪郭の形状解析により、表面の平滑度(なめらかさ)を定量的に評価することも可能です。

さらに、凸度と呼ばれる指標は、粒子形状がどれだけ「規則的」であるかを、より大局的な視点で評価するものです。これは、粒子形状にくぼみや突起がどの程度少ないかを示す指標です。
 
これらの形状指標は、細長い粒子だけでなく、一見すると球状に近い粒子に対しても有効かつ重要な評価項目であり、粒子特性をより正確に把握するために欠かせない情報を提供します。


アスペクト比、円形度、滑らかさは、非球形の物体に関する情報を提供

特に研磨材分野などの一部の産業では、粒子形状について、多角形の辺の数や内角といった、より詳細な形状情報を取得することが有効な場合があります。
 
こうした複数の形状パラメータは、異なる材料ロット間の比較や、複数の仕入先から供給される同種材料の特性評価・品質比較において広く活用されています。形状情報を定量化することで、材料特性の違いを客観的に把握し、安定した品質管理や最適な材料選定につなげることが可能になります。

角形粒子や繊維状サンプルの場合、単一の「粒子径」だけでは、試料を適切に定量評価することはできません。幅や長さの分布、あるいはその両方に加え、アスペクト比に関する統計データを把握することが不可欠です。
さらに、このような形状の粒子では、表面の平滑度や繊維のカール(湾曲)状態が材料特性やプロセス挙動に大きく影響する場合があり、これらの評価も重要な指標となります。

形状解析の大きな特長の一つは、形状統計と粒子サイズ統計を相関させることで、粒径の変化に伴う形状の違いを可視化できる点にあります。この解析は、各粒子を1点として表現した散布図として表示されます。
 
相関プロットでは、解析されたすべての粒子を、任意の2つの形状指標(またはサイズ指標)の組み合わせで相関表示することができ、さらに、着目した領域や粒子のサムネイル画像を個別に確認することが可能です。
 
この手法は、数万粒子規模の母集団の中にわずかに存在する異常粒子や希少粒子を特定するのに非常に有効であり、品質管理や異物検出、プロセス異常の早期発見に最適な解析ツールです。

形状解析のもう一つの強力な特長は、粒子サイズと粒子形状を同時に用いて、試料内に含まれる粒子を複数のサブカテゴリーに分類できる点にあります。この分類機能により、同一サンプル中に存在する異なるタイプの粒子を、それぞれ独立して解析・評価することが可能になります。
 
例えば、粒子径と円形度、アスペクト比、平滑度などの形状指標を組み合わせることで、目的に応じた粒子クラスを定義できます。定義された各クラスごとに、統計データ(サイズ分布、形状分布など)を個別に算出できるほか、クラスごとの粒子サムネイル画像を一覧表示して、実際の粒子形状を視覚的に確認することも可能です。また、**サンプル全体に対する各クラスの割合(%)を定量的に把握できるため、材料特性や品質のばらつきを明確に評価できます。

このような粒子分類と詳細解析は、異物混入の特定、製造プロセスの安定性評価、原料ロット間の比較、仕入先の差の検証など、さまざまな場面で大きな価値を発揮します。
 
 
総括すると、粒子解析において重要なのは粒子径だけではなく、粒子形状の評価であると言えます。粒子形状を正しく把握することは、医薬品、化学、研磨材、セラミックス、粉体加工など、多くの産業分野において、製品性能の向上、品質の安定化、プロセス最適化を実現するための重要な鍵となります。


一般的な形状パラメータとその重要性

ラプターシステムは、30種類以上の粒子形状パラメータを測定可能ですが、その中でも特に材料特性やプロセス挙動への影響が大きい代表的な指標には、以下の項目があります。
 

円形度(Circularity)

粒子の輪郭形状が、どれだけ完全な円に近いかを示す指標です。
円形度が低い粒子は、角張った形状やギザギザしたエッジを有していることが多く、流動性の低下や摩耗性の増加、偏析の原因となる場合があります。
 

凸度(Convexity)

粒子輪郭のなめらかさや形状の規則性を示す指標です。
凸度が低い場合、粒子にくぼみや凹凸(インデンテーション)が多く存在することを意味し、これは凝集粒子や破砕された粒子に典型的に見られます。これらは、粉体の流動不良や成形性のばらつきにつながる可能性があります。
 

アスペクト比(Aspect Ratio)

粒子の長さと幅の比率を表す指標です。
アスペクト比が高い粒子は、棒状または繊維状であることを示し、絡まりやすさや配向性、ろ過特性などに影響を与えます。一方、1.0に近い値は、より等方的で丸みを帯びた形状を示します。

動的画像解析:現代的なアプローチ

ラプターシリーズは、動的画像解析技術(DIA)を用いて、数千~数万個の粒子をリアルタイムで撮像・測定します。従来の粒子測定手法とは異なり、DIAでは粒子径と粒子形状のデータを同時に取得できるだけでなく、各粒子の実画像(サムネイル画像)を確認することが可能です。
 
これにより、以下のような大きな利点が得られます。
 

  • 形状分類の視覚的な確認

    数値データだけでなく、実際の粒子画像を確認できるため、形状分類の妥当性を直感的に検証できます。

  • 凝集粒子や破砕粒子の検出

    平均値では見逃されがちな、凝集体や破損粒子を確実に把握できます。

  • ユーザー定義条件による自動形状分類

    円形度、アスペクト比、凸度などのしきい値を設定することで、目的に応じた粒子クラスを自動的に分類・解析できます。

 

粒子形状解析の実用例

 
医薬品分野
粒子形状を最適化することで、薬物送達性の向上や錠剤成形性の安定化を実現します。
 
研磨材分野
粒子形状の管理により、切削効率や研磨性能の均一性を継続的にモニタリングできます。
 
セラミックス分野
粒子形状データを用いて、焼結挙動や最終製品の密度・強度を予測・評価できます。
 
ろ過材・フィルター分野
微粉(ファイン粒子)や形状異常粒子を検出することで、目詰まりリスクの低減や装置トラブルの防止に貢献します。
 

まとめ

 
粒子形状は、単なる学術的な評価項目ではなく、製品性能を左右する重要な予測因子です。
ラプターのような先進的な動的画像解析ツールを活用することで、平均値に頼った評価から一歩進み、材料の「真の姿」を可視化・定量化することが可能になります。
 
研究開発、品質管理、製造現場において、ラプターシリーズは、より確かな判断と最適なプロセス設計を支える強力な解析ソリューションとなります。

よくある質問(FAQ)

粒子の円形度(Circularity)とは何ですか? なぜ重要なのですか?

 
円形度とは、粒子の輪郭形状がどれだけ完全な円に近いかを示す指標です。
円形度は粉体の流動挙動に大きく影響し、円形度が低い粒子は、表面が粗い、不規則、または角張っている可能性があります。これらの粒子は、製品性能やプロセス安定性に影響を及ぼすことがあるため、品質管理や異常粒子の検出において重要な評価項目となります。
 

粒子形状は流動性にどのような影響を与えますか?

 
一般に、より丸みを帯びた粒子は相互の引っ掛かりが少なく、流動性が高い傾向があります。一方で、細長い粒子や角張った粒子は、粒子同士が噛み合ったり、移動を妨げたりするため、ホッパーからの排出性、搬送性、さらには錠剤圧縮工程に至るまで、さまざまな工程に影響を及ぼします。
 

粒子径測定だけで十分ではないのですか?

 
粒子径測定は重要ですが、それだけでは粒子特性のすべてを把握することはできません。粒子径は「どのくらい大きいか」を示しますが、粒子形状解析を組み合わせることで、「どのような形をしているか」まで評価できます。これにより、異物混入の検出、品質管理の高度化、製造プロセスの最適化が可能となり、より実態に即した材料評価を実現します。
 
粒子形状解析は、粒子径測定を置き換えるものではなく、補完し、深化させるものです。ラプター動的画像解析により、材料評価の精度を一段高いレベルへ引き上げることができます。